「鍼治療1回あたりに使用する鍼の本数について」お答えします!

たまにあった質問サイトヘッダー画像

Q. もっとたくさん鍼を打ってくれませんか? にお答えします

Q. 鍼を多く打ってくれますか?

Q. 鍼治療は本数が多ければ多いほど効果があるんでしょう?!


これまで当院に来院された患者さんのなかには「インターネットで見た鍼治療みたいにもっとたくさん鍼を打ってくれませんか?」とか、「鍼治療は本数が多ければ多いほど効果があるんでしょう?!」などと、鍼の本数に関するご意見、ご質問が出ていました。

確かにネット上や書籍ではいろんな情報、主張が見られます。特に日本では極端な情報発信が多いです。(教科書はそうでもないのですが...)

また、日本人には非常に権威主義的な方が多く、あるいは「美しき日本!」とのキャッチフレーズのもとで「日本国内だけの情報」しか見ようとしないためか、偏った情報でも頭ごなしに正しい情報だと信じ込んでしまう習性もあるようです。

それはさておき、そもそも当院では、1回の鍼治療で使用する鍼の本数は患者さんごと、ケースバイケースで判断しています。

患者さんによって加減するということで、鍼数も深度も一定ではありませんが、当院で鍼数が多い場合でも治療1回あたりの鍼数が50本以上になることはまずありません。80本とか100本とかは絶対にあり得ないレベルです。

なぜなら、実際の鍼治療では患者さんごとに適切な鍼の本数が大きく異なり、加減の幅が大きいうえに、鍼の本数が「多ければ多い方が効果が出る」という理屈に法則があるわけではなく、方向性としも絶対的なものではないからです。もし、多刺の効能を主張する鍼師が「刺激量は加減するからご安心ください」と事前に説明していたとしても「鍼100本」はあり得ないレベルと考えます。

以下にその根拠を示します。

例えば、私は中国に2年間留学して中医薬大学付属の鍼灸外来で研修を受け、その後も中国滞在を延長(別途ビザ取得)し別の病院でも鍼灸研修を受けてきましたが、中国での鍼治療1回あたりの鍼の数は、平均で20本前後、まれに多くても30本までとなっています。ただし中国の鍼灸科では、患者さんが週に2回~3回ペースで継続的に通院されますので、週1回以下の通院が多い日本と比較して一定期間中での治療頻度が高いので日本とは少し事情が異なります。しかし、1回の治療で20本の刺鍼で1週間3回通院した場合でも合計は60本ですので、日本の鍼灸情報で見られるような、「80本打つとか、100本以上打つ」などの「多刺ありき」の治療スタイルは中国には存在しません。

次に二つ目の根拠をお示しします。

これは日本の鍼灸情報です。日本の故木下晴都先生(1915-1997)は長年にわたって鍼灸研究をなされ、数々の論文、著作物を発表されています。そのなかの一冊に「鍼灸学原論/1976年」という分厚い本がありますが、そのなかで木下先生は「鍼治療1回あたりに使用する鍼の本数について」ご自身の経験上の見解を述べておられます。

木下先生の見解を以下に引用します。

刺激の効果は、以上述べた質・量・受体の3条件によって決定されるが、実際問題として具体的にどの程度の刺激を与えれば良いかということは、この条件のみでは抽象的でわかりがたい。一針または一点の針灸でも十分効果の現れることもあれば、10~20穴に針灸を行って、初めて効果の現れる場合もある。・・・
(鍼灸学原論/1976年 /p.342の項目「刺激の度合」)

この書籍が出版されたのははかなり以前で現在の日本ではマイナー扱いされていますが、この本では以上のような説明があり、木下先生は「刺激量の調整の必要性」について本質的な解説を行っています。この書籍は今読んでもまったく為になる内容が多い名著です。

 

もう一度、引用します。

鍼1本からでも十分効果が現れることもある。...
p.342「刺激の度合」

 

残念ながら日本の教科書にはこのような直接的な表現による解説はあまり記載がありません。

以上のように鍼灸治療の刺激量には「患者によって大きな幅がある」、「使用鍼の本数もいろいろだ」ということがお分かりいただけたと思います。

 

ここで誤解を防ぐために、少しだけ日本の教科書の内容をご紹介します。

先述の通り、日本の教科書(私が習った時期)には鍼の本数に関する目安や明確な指示は出ていません。その代わりということではありませんが、日本の教科書には、とある古典流派の鍼灸理論が公式カリキュラムとして記載されています。この古典流派は中国の古典の一部をベースにして日本人によって昭和初期に考案された鍼灸理論で、体表にある経絡の気の流れを治療対象とする理論になっています。体表に鍼を打って気の流れを整える目的で治療をしますので、この理論の治療では元来刺鍼深度が非常に浅く、少数穴への刺鍼が基本原則となっています。つまり、治療1回あたりの鍼の本数が非常に少なく、全体として刺激が弱い、総刺激量がかなり少ないのが特徴です。

繰り返しになりますが、当院では、開業時点からの治療方針として「患者さんごとに症状やお身体の状態に合わせて鍼灸治療を行う」と宣言しており、開業して10年以上の治療経験がありますが、当院で鍼数が多い場合では治療1回あたりの刺鍼が50本以上になることはまずほとんどありません。

中国でも1回20~30本程度が平均的な幅の鍼数です。

日本での鍼80本とか100本打つとかは絶対にあり得ないレベルです。私個人の経験からでも断言できます。

鍼灸をこれから受けようとする方はどうか当ページを参考にしていただき、よき鍼灸師に出会われることを(天に向かって)祈念します。

治療ポリシー説明の参考書

▲【 参考資料 】

 


クエストアイコン 当ウェブサイトたまにあったご質問」 [■ トップページ] へ戻る


鍼灸院の説明

Q&A トップページ おすすめバナー 当ページ(サイト)について 学生時から開業までの研修歴(国内) 北京堂(二天堂)とのリンクについて 北京堂式ぎっくり腰鍼治療の返金制度 「二天堂鍼灸院の弟子ではないのか?」について 二天堂鍼灸院で受けた研修内容 後頭下筋群・翳風に2寸鍼の深刺法の導入について 大腰筋に刺鍼する治療の導入について 他の鍼灸院の治療法の導入 治療回数の目安について

TOP